リカバリー(回復)へのみちすじ
…エンパワーメントのサポートに向けて…
副院長 井上 眞人

昨年9月の当院内報において、当院:末続なつ江教育部長より、筆者も聴講させて頂いた日野原重明先生のご講演に沿って、「命は時間」の紹介がありました。日野原先生は全国の小学校で「いのちの授業」を行い、「いのちを大切にするためには、けんかしないこと、人を傷つけないことです。」とお伝えになられたそうです。けんかや、人を傷つけることに時間を費やすことは、自分の命を縮めることも同然なのかもしれません。
昨年2月の当院内報担当時にお伝えした、福島県立医科大学会津医療センター精神医学講座特任教授:丹羽真一先生のご講演「リカバリーを目指すSSTと薬物療法」においてご指導頂きました、精神障がいの当事者の方々の「リカバリー(回復)」の過程における、「希望」、「エンパワーメント」、「自己責任」、「生活の中の有意義な役割」の四つの段階のうちの一つ「エンパワーメント」は、情報にアクセスでき、様々な場面で選択の機会を持ち「自分に今、どんなことができるか」ということに着目できるよう誰かから激励される段階1)とされています。

当院では、「当事者の皆様の精神保健福祉に係る情報へのアクセス」を図るため、作業療法部門の「ラップ(元気行動回復プラン:WRAP ®」、並びに、デイケアセンターでの「健康福祉講座」等を実施、また、ご家族同士が集まって、一緒に病気について学び、思いを共有できる場として、「あなたの笑顔が目標です」とのビジョンのもと、医療社会事業室を中心に、看護部、心理室、薬局等の各部門専門スタッフ、および、犬山病院リカバリーセンター、デイケアセンター、犬山認知・行動科学センターの連携により、心理教育プログラム「家族教室」を開催しております。今クールは2月より6回の予定で開始、次回は3月3日(土曜日)13:30~15:30、桜桂会福祉施設1階地域交流室にて行われます。さらに、当院スタッフに向けましても、当院教育委員会による院内教育が行われております。

当院は、精神保健福祉活動を担う様々な職種の臨床教育の場でもあります。看護教育において、看護者が状況に沿った意図的な実践を行うために、一定の方法を用いて自己の看護実践を振り返り、実践に潜む価値や意味を見出し、それを次の実践に活かすことによって、さらに状況に沿った意図的な実践を行うためのプロセスが、「ふりかえり」(省察,リフレクション)の一つの定義2)とされています。そして、対人援助職の幅広い分野で、援助者のエンパワーメントにもつながる教育方法として、援助者自身の心の動きに注目し、援助場面で気になったことを「ふりかえり」、感じたこと、考えたこと、そして、自らの「反応」を記録に残す、「プロセスレコード」が用いられております。当院でも犬山認知・行動科学センターの活動の一環として、認知療法・認知行動療法の考え方に基づき、当事者の皆様と援助スタッフとの対話を通して、関わりの当初から課題や問題を共有し、ご自身で考えを見つめ直し、新たな見方や考えをみつけて頂けるような働きかけに努め、「いま,ここで」の「ふりかえり」により、現在「困っていること,改善したいこと」について、現実的で達成可能な目標を導き出すことが可能となるよう、コミュケーションを活性化する3)取り組みが、臨床教育、院内教育に導入されております。

さらに、当事者の皆様と私たち援助スタッフ同士のコミュニケーションを育むみちすじにおいて意図的な「ふりかえり」を引き出す(ファシリテートする)役割を果たすファシリテーターが求められています。そして、指導的な立場に立つファシリテーターの課題として、自分の行動を批判的に内省し、組織の問題に無意識に影響を及ぼしている自分の在り方を見出し、行動を変革する必要があること、さらに、「これまでにこうやって来たのに何がいけないのか」と、問題を自分から遠ざけたり、他人に押しつけて責任を転嫁したり、短絡的な学習になる(防衛的に行動する)「自分」に向き合うこと2)、が挙げられています。

当院内報先月号において当院:高沢悟院長の「つなぎ、ひらく―継続すること、そして挑戦すること―患者さんも職員も末永く健康に!」の巻頭言は、「Do your best in 2018!」とのエールで結ばれておりました。医療法人:桜桂会では、精神保健福祉業務に携わる各部門のスタッフが連携し、ご利用者の皆様との対話を通して、援助過程における共同目標の設定に努め、地域精神保健福祉活動の実践に取り組んでまいります。皆様のお力添えをどうぞよろしくお願い申し上げます。

(文献:1)マーク・レーガン著(前田ケイ監訳):ビレッジから学ぶリカバリーへの道.金剛出版,2005,
2)東めぐみ:ファシリテーターのための看護リフレクション,看護管理Vol.27,No.4~9,2017,3)岡田佳詠(編著):認知行動療法に基づく精神看護過程 よくわかる認知行動療法の基本と進め方.中央法規出版,2016)


(白帝ニュース平成30年2月)


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