つなぎ、ひらく―継続すること、そして挑戦すること―

院長 高沢 悟

新年明けましておめでとうございます。平成の世も30年目となりこの年号もあと1年4か月足らず、平成元年生まれの20代は今年でいなくなり、犬山病院も私も3つ目の世代を迎えることになります。時が経つのは早いものですが、否が応でも私たちは時代に巻き込まれて生きてゆくしかないことを実感します。

我が国は超高齢化を目前に控え、医療・福祉・介護に関して激変の時代を迎えています。精神障がいを持った方にも高齢化の波が押し寄せ、がんや糖尿病、慢性腎不全など身体の病気を抱えながらの生活を送る方も多くなるでしょう。労働人口の相対的な減少に加え、IT化やグローバル化した労働環境の変化に伴い、繰り返すメンタル不調に苦しむ労働者とその家族も増えています。少子化に伴う同胞の減少、教育環境の変化、インターネット・SNSの普及による対人コミュニケーションの質的変化などで、児童・思春期ばかりでなく成人になっても対人関係に悩み続ける方が増え続けています。今や精神保健は国民全員が取り組まなくてはならない国家的な課題ともいえる時代になりました。国は地域包括ケアシステムという大きな枠組みの中で、いずれは高齢者ばかりでなくすべての障がい者を地域で支える社会を作ることを推進しています。「病院から地域へ」と大きく舵を切った精神医療・福祉政策が、本当に実効のあるものであったかをこれからまさに問われる時代だといえるでしょう。犬山病院を中心とした医療法人桜桂会では、今年もこれまで以上に地域生活支援、就労・復職支援、発達障害をはじめとする児童思春期の相談、合併症を持った精神障がいの方の支援などに力を入れ、大きく変化する時代のニーズに応えるべく努力を重ねてゆく所存です。

ところで、もう6年前になりますが、平成24年10月、当法人理事長である吉田弘美が大会長を拝命し「第55回病院地域精神医学会・名古屋大会」"つなぎ、ひらく―記憶をつなぐ、新たな地平を拓く―"をテーマに掲げ、歴史あるこの学会の大会開催を託されました。その翌年の平成25年9月には、「第11回スポーツ精神医学会」全国大会が地元犬山市において、黒川淳一診療部長を大会長に開催され、障がい者スポーツなどの推進を含めた、充実した内容の大会となりました。奇しくも開催期間中の9月8日の朝、2020年オリンピック開催地が東京に決定したとのニュースが舞い込むという絶好のタイミングでの開催でした。

そして今年、平成30年2月18日(日)には第18回日本外来精神医学会(JCOP)と第8回内田クレペリン精神検査研究会の合同学術大会を、東京慈恵会医科大学において開催する運びとなり、大会長の大役を高沢が務めることになりました。共同開催の内田クレペリン精神検査研究会は、黒川淳一診療部長を発起人代表として2012(平成24)年立ち上げられ、職域・教育分野で汎用されている伝統あるこの検査を医療の中で再認識・再評価しようと始まった研究会です。ちなみに、今回の大会テーマは「精神科リハビリテーションの新たな展開~共通指標の確立に向けて~」となっています。病院から地域へという大きな流れ、障がいを持った人を地域のコミュニティーで支えるという将来像を実現するには、実効性のある精神科リハビリテーションが不可欠です。リハビリテーションというと、脳血管性障害や交通事故などの理学療法的リハビリテーションのイメージが強いと思いますが、精神科は実はリハビリテーション医学の一つともいえる分野なのです。デイケアや就労支援・継続のための作業所だけでなく、メンタル不調の方の復職を目的としたリワーク・プログラム、対人関係や社会生活技能を訓練するSCITやSST(ソーシャルスキル・トレーニング)、認知機能のトレーニング・プログラム(NEAR、JCOREなど)、集団認知行動療法や最近話題になっている「マインドフルネス」なども、予防的スキルを含む精神科リハビリテーションと考えてよいものです。認知症の方を対象としたデイサービスなども立派なリハビリテーションの一つといえるでしょう。リハビリテーションの辞書的な意味は"社会的権利・資格・名誉の復権"と言われていますが、その人がその人らしく、人間としての尊厳を回復する過程としてリハビリテーションを捉えれば、リカバリーのプロセスと重なる部分が大きいことは十分理解できると思います。

2月の学会は「外来」とは書かれていますが、現代の精神科医療は多種職での協働を前提とし、福祉・介護・教育・職域さらに地域の文化・歴史にまで及ぶ広範な領域に跨っているので、外来/入院といった2分法で分けられるものではありません。病院勤務の方もクリニックなどで臨床に関わる方にも、企業や教育、福祉、行政など何らかの形でメンタルヘルスに関わっている方にも、多くの方にご参加戴き、精神科リハビリテーションの新しい姿について大いに議論し、考えて戴きたいと思っております。そして、内田クレペリン精神検査法という、精神医学の大御所、エミール・クレペリンが考案し、遠く離れた日本でその再現性を実証した内田勇三郎博士が日本向けに改変したこの優れた検査法についてよく知って戴き、活用を考えて戴きたいと切に願っています。大変寒い時期の開催ですが、ご興味を持って戴いた皆様にぜひ足を運んで戴きたいと願っております。

年頭のあいさつが宣伝ばかりになってしまいましたが、全国組織の学術大会を開催するという重責を任されるのも、今回で当院は3回目です。一介の地方の民間精神科病院でしかない当院でも、知恵を絞って皆が力を合わせればいろいろなチャレンジができることをお伝えしようとこんな話題を選びました。そしてこのことは、毎年「桜桂会学会」と銘打ち、地道に院内学会を続けてきた成果だと自負しています。
今年が皆様にとってエキサイティングでハッピーな1年であることをお祈りします。
Do your best in 2018!!

(白帝ニュース平成30年1月)


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