リカバリー(回復)へのみちすじ
…「安心して失敗できる環境づくり」のサポートに向けて…

副院長 井上 眞人

当院内報先月号巻頭言「患者さんも職員も末永く健康に!」にて高沢院長から紹介がありましたように、昨年の当法人桜桂会祭り記念講演として、福島県立医科大学会津医療センター精神医学講座特任教授:丹羽真一先生にご講演を賜りました「リカバリーを目指すSSTと薬物療法」において、精神障がいの当事者の方々の「リカバリー(回復)」の過程における、「希望」、「エンパワーメント」、「自己責任」、「生活の中の有意義な役割」の四つの段階についてご指導頂きました。丹羽先生が編集された「やさしい統合失調症の自己管理.改訂版」(医薬ジャーナル社,2013)のなかでも、リカバリーに関して「ビレッジから学ぶリカバリーへの道」(マーク・レーガン著,前田ケイ監訳, 金剛出版,2005)から、「自己責任」について「リスクを抱えること、その失敗や過ちから学ぶことの大切さ」を挙げておられます。講演会の席で、「自己責任」の段階について質問をさせて頂いたところ、「当事者の方々が安心して失敗できる環境づくりの重要性」についてのご教示を頂きました。

リカバリーの推進のため、当院では院長をセンター長として、リカバリー・センターが開設されております。同センター実務責任者である当院副看護部長による職員教育の場で、リカバリーのイメージに関する問いかけがなされた折、当院デイケア・センター主任から、デイケア・センターのプログラムに反映されている、リカバリー促進のためのプロジェクトの一つ、IMR(Illness Management and Recovery:疾病管理とリカバリー)*)の考え方から、「当事者の方が、その方の『ありたい自分』、『こうなりたいという想い』に、近づいていく」イメージが示されました。

「生活臨床の基本」(伊勢田堯、ら編:日本評論社,2012)によれば、デイケアの役割として、リカバリーに向けて、精神科医S.アリエティが「ストレスの多い出来事はどんなものでも発症を促進するというのは間違っている。発症を促進する出来事というのは、『うまくやれない』という感情、すなわち自我に重大な打撃を与えたとき、精神的な崩壊が起こりやすい」ことを指摘していることから、「無理をしなくてはならなかった状況」に焦点をあてた、多職種のチームによる地域生活のサポートの重要性が示唆されています。

社会経済活動の視点からも、「安心して失敗できる環境」についての研究が進んでいます。「安心して失敗できる組織を作る 失敗に学ぶ経営」(エイミー C. エドモンドソン:ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー,36(7);10-22,2011)によれば、効果的に失敗から学習するための重要な活動として、「戦略的に、…正しい場所で、正しいタイミングに、…失敗を生み出すことである。」としています。そして、第一に、基礎科学の研究者が、自分の仕事には失敗がつきものであることを承知しており、第二に、どのような失敗も貴重な情報を伝えてくれることを誰よりも理解している、ことを挙げています。

当院犬山認知・行動科学センターの活動におきましても、当事者の方々が自身の感情・思考・行動について、特に、自らの脆さが晒されやすいストレス源(ストレッサー)に対峙した際に、「今、ここで」の対人関係を通して、客観的な(対自的に)観察・分析(セルフ・モニタリング)と、そして、主体的な選択が可能となるよう、地域の精神保健福祉活動に努めていきたいと考えております。皆様のお力添えをどうぞよろしくお願い申し上げます。
(*:参照;大島巌,ら監修:IMR入門 疾病管理とリカバリー.NPO法人地域精神保健福祉機構コンボ,2015)

(白帝ニュース平成29年2月)


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